ホタルカフェ | hotaru café

Nagaiki-工房さんとの家づくり・カフェづくり

「カフェをやる場所を探してて、この土地を見つけたんですか?」

ホタルカフェに来てくださるお客様からよく聞かれます。そんなときぼくたちの返事は決まって、「何となく千葉の田舎で住めるところを探していたら、この土地に出会って、ここならカフェをやるのもいいかな、という感じで、、、」という何とも曖昧なものになってしまいます。カフェをやりたくて、自分たちのカフェのイメージに合致するロケーションを探していた、というわけではなくて、この土地に出会ったからカフェを始めることに決めた、というのが本当のところ。

そしてこの土地を探してくれたのも、この土地に出会ったときに「ここならカフェやれるよ!」と背中を押してくれたのも、ぼくたちの家とカフェの建物を建ててくれたNagaiki-工房さんなのです。だから、ぼくたちの今の毎日があるのは、やっぱりNagaiki-工房さんと出会ったから。土地を探してくれただけじゃない。家を建ててくれただけでもない。ぼくたちの人生にダイナミックな変化をもたらし、ホタルカフェがある今の日常を作るきっかけを与えてくれた、大切な大切な出会いです。

Nagaiki-工房さんの現場

Nagaiki-工房さんは、基礎工事や電気・水道工事などをのぞけば、基本的に2人の手作業で家を建てています。だから当初計画していたとおりに進まないこともあれば、急な仕様変更を余儀なくされることもあります。ぼくたちは施主としての要望を根気強く伝え続ける努力をして、Nagaiki-工房さんもそんなぼくたちの要望を現実的なところに落とし込むために、最適な方法を考えてくれる。そうやってしっかりとコミュニケーションをとる努力をお互いにできたこと、Nagaiki-工房さんはぼくたちを、ぼくたちはNagaiki-工房さんを、互いに尊重しあう関係をゆっくりと確実に築けたことで、現場で起こるトラブルの対処や仕様変更も、Nagaiki-工房さんの最終的な判断を全面的に信頼することができました。

「お金を払うんだから、ひとつのミスも許されないのは当然」とか、「現場のことに素人は口出ししないでほしい」とか。一般的に家を建てるときには少なからずあるんじゃないかと思うけど、少なくともぼくたちとNagaiki-工房さんの間に、そういうものは一切ありませんでした。土地探しから家の完成まで、ちょっとしたトラブルもあれば、意見の食い違いもありました。その全てを信頼関係で乗り切るということ。ただ単純に信頼しているから全部お任せ、ではなくて、信頼しているからこそ意見が食い違うときにはお互いに納得いくまで話して、ひとつひとつ解決していく、ということです。そこを放棄してしまったら、Nagaiki-工房さんとの家づくりは成り立たないんじゃないか、というくらい大切なことだったし、今もこれからもずっとお付き合いしていきたい、と思える関係を築けたのだと思います。

人力で起こす巨大な壁

自然素材をふんだんに使った家、というのもNagaiki-工房さんの家の魅力のひとつ。ホタルカフェと居住部分、どちらも外壁、内壁ともに漆喰で、外壁の一部と床は無垢材です。出来る限り素材にこだわっているけど、巷で言われているような商品としてのエコハウスみたいなものを目指しているわけではないから、流行りに流されることはないし、居住性やコスト、施工のしやすさなどのバランスを総合的に考えて、何が何でも全てを自然素材で、という極端な頑なさもありません。高価で限りなく良い素材を使えば、それはとても良いものができるのかもしれないけど、施主のこと、コストのこと、メンテナンスのことを考えて、最適な仕様を考えてくれているのだと感じました。

また、Nagaiki-工房さんは施主さんの家づくりへの参加を積極的にすすめています。巨大な壁を力一杯起こしながら、全身でその重みを感じること。完成したら見えなくなってしまう部分がどれだけ大切なのかを理解しながら、断熱材や下地や防水処理などの地道な作業を体験させてもらえること。いつも笑いの絶えない、活気に満ち溢れたNagaiki-工房さんたちの現場で、家が少しずつ形になっていくワクワクとポジティブで生産的な時間を共有できること。家族や友達を交えてみんなで漆喰を塗った思い出。その全てがこの建物全体に染み込んで、家がただの家じゃなくなる。何か大きくて温かいものに、いつのときも包み込まれているような感覚。ハウスメーカーに全部お願いして、完成した家をただ引き渡してもらうだけでは、絶対にわからないことがあって、それは家を建てる前に想像していたよりもはるかに貴重で大切なものだった、今ならそう断言できます。

だから、Nagaiki-工房さんと施主さんが建てた家が、これからも増えて欲しいと思う。思いの詰まった、血の通った家が、少しでも多く、この世の中に存在していて欲しいと思う。そしていつかその意志を継ぐ作り手がたくさん増えたらいい。効率とスピードを追い続けるのではなく、もっと大切なものは何か、それを考えるきっかけとなる家づくりを、少しでも多くの人たちに経験してほしいと思う。30年で使い捨てになるような家ではなく、大切に住み継がれていく家。街中がそんな家でいっぱいだったら、どんなに素敵だろうって、心の底からそう思います。

Nagaiki-工房さんが建てる家には、独特の存在感があります。流行りの建材を使った建売住宅とも、カントリーなログハウスとも、旅先や雑誌で目にする欧米のスタンダードな木造住宅とも違う。何かが決定的に違うのです。デザイン、素材感、周囲の風景とのバランス、家そのものがまとう空気感。奇抜なデザインで周囲から浮いてしまうことは絶対にないけど、ひとめでわかる圧倒的な個性。Nagaiki-工房さんの真っ直ぐな人柄と揺るぎない信念が、ひとつの家として風景の中にひっそりと佇んでいる、そんな感じがします。

周囲の空気に溶け込む、独特の存在感

ぼくたちが初めてNagaiki-工房さんにお会いした日の前日、地元の不動産業者の案内でいくつかの土地を見て回っていたときのこと。真っ直ぐに伸びる木々の向こうに全面板張りの素敵な家を見かけました。こんな家を建てることも可能なんだ、って胸の中に希望が満ち溢れた感覚を今も覚えています。その翌日、近くのファミリーレストランで待ち合わせてNagaiki-工房さんとの初対面。

「この近くに自分が建てた家があるから、よかったら見に行きましょう。オーナーさんの了解もとってあるので」

そして向かった先は、ぼくたちが前の日に偶然車の中から見かけた、あの板張りの家でした。